野菜果物に係る仕事をしていると 必然的に「微生物」の世界とも深い係りを持ちます

微生物が 死を生にする活動によって支えられる農業でだったり、
おいしく食べるために欠かせない 味噌や醤油、お酢といった調味料
だったり・・・

くしくも 野菜ジャーナリストになってから 特に ご縁があるのが 発酵調味料伝統野菜
共通するのは 古くから受け継がれているということ、
一方で、時間や手間がかかるゆえに 簡易化が進み、
それが 味覚や文化に大きな変化をもたらしているということ


日々、想いをめぐらし、「微生物」と向き合う機会も増える中で、
宮本輝の「にぎやかな天地」が 私の手元にやってきました

にぎやかな天地〈上〉 (中公文庫)
にぎやかな天地〈上〉 (中公文庫)
にぎやかな天地〈下〉 (中公文庫)
にぎやかな天地〈下〉 (中公文庫)

この本は 今年のはじめに親友が貸してくれたもの。しかも自分が読む前に。

それ以来 親友とは逢うことなく時が過ぎ、「ねばならない」読み物たちに押し出され、
誕生日を機に再会するタイミングにあわせるかのように 読了することになったのです。

「にぎやかな天地」は、
人の生死と『日本伝統の発酵食品』の神秘を重ね合わせた壮大な時間の物語。
一見、闇を抱える主人公たちが 発酵食品への昇華と重なるように 時間を経て 発酵していく…

読んでいるだけで、発酵食品についても詳しく知ることができる物語です。

たとえば 干ししいたけの「うま味」についての文章↓
「乾燥によって食物に与えられるのは、なにも保存という恩恵だけではない。
生物の細胞は死によって別の活動を開始するのだ。(中略)
細胞が持っていた分解酵素は、細胞の死によってスイッチが入る。(中略)
蛋白質から成るものは、自己分解によってグルタミン酸などのアミノ酸といううま味物質に変わる。
(中略)それはその生物が生きているときには出すことができなかった味覚なのだ。」

読み進むにつれ、数々の言葉が こころに響きます。
「発酵をつづける醤油の表面には白い泡に似たものが浮かび、
 それらはなにかを絶えずつぶやいているかに思える

鮒鮓造りの現場では、要になる木桶にふれて
「『その大事な桶を修繕できる職人さんがいてへんようになりましたし…』
 木の桶は生き物なのだと、夫人はつづけた。
 『プラスチックの桶は息をしませんから』(中略)
 職人というものが、この日本から減っていこうとしているが、
 その職人たちが使う道具を造る職人もいなくなっていきつつある
のだ」
 (お酢の兄さんとの会話にリンクします。詳しくは こちら

目に見えない微小な世界でも行われている『調和』というもに感嘆の念を禁じ得ないのだ」


5月のはじめに 味噌づくりをしたこともそうだし、この半年弱の間に起こったことの数々を想うと
読了のタイミングは今でなければならなかった。
だから かけがえのない存在になった。そんな一冊

トイレの神様と並び 
私が私であるために必要な一冊との出逢いに感謝。親友に感謝です



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